北朝鮮のSLBMミサイルとは?日本への影響や射程距離・仕組み・自衛隊は防げる?北朝鮮で9月に行われた地上噴火試験。新型のSLBM(潜水艦弾道発射ミサイル)の実験ではないかと言われています。SLBMミサイルとは何か?発射された場合日本への影響は?射程距離や仕組みなども調べてみました。
もくじ
北朝鮮のSLBMミサイルとは?日本への脅威を考える
先日、9月半ばに北朝鮮でミサイル用とみられるエンジンの地上噴射試験が行われたが失敗し、アメリカと韓国は、新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の開発実験の可能性があるとみているという報道がありました。
8月頃からアメリカの研究機関では北朝鮮がSLBMの発射準備をしていると分析していたみたいですが、どうやらその通りになったようです。
北朝鮮の技術者には死者も出ているようですね。
ところで、時々ニュースに出てくるSLBMとはなんでしょうか?
また、北朝鮮がSLBMの実験に成功して実戦配備すると、どのくらいの脅威があるのか、見ていきましょう。
潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)とは
名前の通り、「潜水艦から発射される弾道ミサイル」のことです。Submarine-launched ballistic missileの頭文字をそれぞれとって、SLBMと表記されます。
核弾頭を搭載出来るようになっていますし、北朝鮮もその前提で開発を進めています。
弾道ミサイルには、もう一つ「大陸間弾道ミサイル(ICBM)」というものがありますが、自国の地上から発射しなければならず、衛星などで発射地点を特定されやすいので、そこを逆に攻撃されてしまうリスクが高いです。
しかし、SLBMの場合は核を装備したまま敵の近くまで移動ができるうえに敵に見つかりにくい、という最大のメリットがあります。
また、もし本国が攻撃を受けて兵器などが破壊され、攻撃能力を失ったとしても、SLBMを配備した潜水艦があれば、核兵器を持ったまま生き残り、敵国に報復することができるのです。
そのため、主要な核保有国の戦力は、ICBMよりSLBMにシフトしつつあるのです。
北朝鮮は「究極の目標はアメリカとパワーバランスを取ること」と言っていますので、当然、このSLBMという兵器の開発をどんどん進めていきたいわけです。
北朝鮮が保有しているSLBMと、日本への脅威
2015年頃から北朝鮮が行っているSLBMの実験では、「北極星(プッククソン)」という名前のミサイル開発が行われているようです。
公表されているだけでも4回実験を重ねており、北朝鮮は公表した映像を通して徐々に性能をあげていることを世界に誇示しています。
例えば、空中にミサイルを発射後点火している様子を見せて、飛距離を伸ばすことができるようになったことを暗に示し、ミサイルから出ている炎の形や煙の色を見れば、液体燃料から固体燃料に変えたことを、見る側が判断できるようにしているのです。
固体燃料で飛ばせるということは、科学反応を起こしやすく事故の危険性の高い液体燃料に比べ、燃料を入れた状態でのストックの安全性が高まるということです。
ストックしておけるということは、何かあればすぐ発射できるということ、多いということは、すぐ発射できるミサイルがたくさんあるということ、です。
否が応でも脅威が高まっていると感じざるを得ません。
現在北朝鮮は「北極星3」型の開発に着手していると見られ、最新の実験成功時の公表内容から推測される限り、射程距離は1,000キロを超えると見込まれています。
アメリカのSLBMであるトライデントの射程距離は11,000キロと言われていますから、北朝鮮とは比べ物になりません。
しかし、忘れてはならないのは、SLBMは潜水艦で運搬できるミサイル、ということです。この射程距離はあくまでも「潜水艦から」の距離ですので、実質の攻撃可能範囲はもっと広がります。
東京と北朝鮮の距離はおよそ1,200キロ。
ちょっと潜水艦を動かせば、日本の中枢を十分狙える飛距離です。
ただ、北朝鮮は今のところ、このミサイルを運搬する潜水艦を1隻しか保有していないと見られ、ミサイルと並行して潜水艦の開発も追求しているという指摘もあります。
北朝鮮のSLBMミサイルが発射されたら、自衛隊は防げるのか
2016年8月24日に北朝鮮が行ったSLBMの実験では、日本の防空識別圏内の日本海に着弾しました。それ以来、日本政府は破壊措置命令を常時発令した状態にすることに決めました。
地上からはPAC-3、日本海に配備されたイージス艦からはSM3という迎撃システムで、いつでも迎え撃つことができる準備をしているということです。
しかし本当に、これで大丈夫なのでしょうか。戦後70年、経験のない事態に自衛隊は本当に対応できるのか不安は拭いきれません。
空中での迎撃方法では、いつどこから打ち出されるかわからないSLBMの場合、ミサイルの位置などを把握するのに時間がかかって、迎撃に失敗する可能性がでてきます。
そのため、まずミサイルを打たせない、ということが求められます。北朝鮮の潜水艦の動きを把握し、動きを封じ込めることが一番の防衛手段なってくるでしょう。
いずれの場合も、日本にとって一番難しいだろうと思われるのは、ゴーサインを出すことではないでしょうか。
北朝鮮から放たれたミサイルが着弾するまで10分もありません。
1分、1秒の遅れが国民の命に関わってくるのです。迎撃する必要が出てきた場合、いかに早く決断を下すことができるかが、最も重要であると言えるでしょう。
まとめ
核開発を中止せよ、という度重なる国際社会からの警告を無視して、核開発を加速させる北朝鮮。SLBMの開発が果たしてどこまで実戦可能な状態まで成功しているのか、実際のところ詳細は不明です。
しかし実験のたびに日本の防空識別圏内や排他的経済水域に着弾させていること、そのことがすでに脅威です。
国連安保理を始めとした国際社会が、粘り強く北朝鮮を説得していかねばなりません。
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